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@生活保護とは(厚生労働省より)
A貧困大国ニッポンの足下で何が起きているか
生活保護大幅引き下げに1万人が審査請求
(新聞テオリア2013年12月1日号より)
 
 
 
 
@生活保護とは(厚生労働省より)
 資産や能力等すべてを活用してもなお生活に困窮する方に対し、困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障し、その自立を助長する制度です。(支給される保護費は、地域や世帯の状況によって異なります。)
制度の趣旨

 生活保護制度は、生活に困窮する方に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的としています。

生活保護「改革」の現実

 一部上場企業の経常利益が前期比平均35%と過去最高を記録。トヨタの昨年度の収益が過去最高。一方で最大の引き下げになったのが生活保護基準である(8月1日から実施)。今回の引き下げは平均6・5%、最大10%であり、過去は03年0・9%、04年0・2%引き下げの例があるだけだ。
 しかも、今回の生活保護費引き下げは家賃に当たる住居費は現状のままで生活扶助だけが大幅に引き下げられた。生活保護世帯の96%が減額され、母子家庭や子育て世代など多人数世帯での削減幅が大きくなっている。母子二人で8千円、夫婦子ども一人で1万6千円、夫婦子ども2人では2万円。子どもの貧困防止に逆行した対策がとられている。子ども虐待防止法を施行しても、子どもの虐待が増え、悲惨な子殺しが跡を絶たないのは貧困問題に政府が全く取り組んでいないからである。
 堅田香緒里さん(本紙前号)は日本の貧困大国ぶりを自らの奨学金の問題、餓死、経済的理由による自殺、ホームレス、日本の貧困率がアメリカについで2番目に高いことなど「ボロボロのセーフティネット」のもろさを列挙した。7人に1人は貧困世帯とされる日本で生活保護の捕捉率がどれほどかといえば15〜18%。7〜800万人と言われる貧困者のうち、215万人の保護世帯なので2割しか生活保護制度度を利用できていない。ちなみにフランスは91%、ドイツ65%、イギリスですら48%。これだけでも貧困大国ニッポンの一端が端的に現れている。
 先日の生活保護制度改悪反対院内集会で82歳の保護利用者の女性が、保護費引き下げの影響で「病院で何年も着古した下着を医者に見られるのが恥ずかしい。せめて2〜3年したら下着をかえたい」と話しているのを聞いてやりきれない思いがした。
 貧困率や生活保護の捕捉率の低さは数字上の世界ではない。その陰にはもっと陰惨な世界がある。私の関わる貧困者支援グループでも若者の貧困者が目立つようになった。精神病を患い生活保護を利用しながら生きている若者がいる。その若者に難癖をつけて数万単位の金を奪っていく若者がいる。「奴は生活保護を受けていてゲーセンにいた。俺は必死で働いているのだから金を『返して』もらって当然だろう」と。金を奪うのに(ありもしない貸した金を)「返してもらう」という難癖は論外として、もう一つ、〈生活保護の金を「返して」もらうのは働かないものからの税金還付で何が悪い〉という信じがたい理屈が根付いていた。生活保護バッシングはこうした弱いものいじめの理屈として根付いてしまっているのだ。
 NPO法人自立生活サポートセンターもやいが9月に行ったアンケート(回答287)では、今日の生活保護基準引き下げの影響で食費・電気料金を削らなければいけなくなった人が64%。人付き合いに影響が27・5%、その他の影響が41・8%、影響がないが18・5%。回答では「食費・電気代が上がり実質減額なのに引き下げは許せない」「弱いものいじめをしないで」「死ねと言われたように感じました」といった深刻な内容だった。
 大幅引き下げに対し、生活保護問題対策全国会議などが全国一斉審査請求を呼びかけたところ、10月10日現在1万1215件の審査請求が自治体になされた。
 私も8名の代理人となって請求したが、却下の裁決書が送られてきた。まもなく再審査請求を行い、来年8月ごろまでには最大規模の厚労省に対する行政訴訟を全国で行うことになるだろう。

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扶養義務強化と就労への圧力

 11月13日参院で可決された生活保護法改悪と生活困窮者自立支援法の問題は何か(法案は臨時国会で成立の予定)。
 制度改悪の狙いは2つある。「移動能力を有する者」「扶養義務者がいる者」を事実上生活保護の対象外にすることである。そのために生活保護法を改悪し申請時の申請書や添付書類を「提出しなければならない」として水際作戦を強化し「沖合い作戦」とまで言われる門前払いを合法化しようとするものである。
 政府は生活保護の捕捉率が2割にしかならない現状でさらに保護申請に対する萎縮効果を狙って今回の改悪法を提出した。生活保護法は憲法25条に担保された無差別平等を原則として稼働能力や扶養義務者の有無にかかわらず生活保護が受けられることを明記しているのだが、法改悪でどうなるのか。
 一つ目は、扶養義務を事実上保護の要件としたことである。現状の扶養義務照会から事前通知に変わるのである。これまでは申請時に家族構成や関係を尋ね、「養ってくれる人はいないんですか」と質問することがあっても収入を調べるのは本人だけであった。
 ところが、制度改悪後は家族(法律では三親等まで)に例えば「お宅の息子さんが生活保護の申請にきたのでお父さんの銀行口座で収入を調べます」と事前に収入・所得を通知できるようになり、扶養能力の有無を銀行、雇い主、年金機構にまで調査し徴収できるようになる。
 しかもこれまでは申請を受けてから本人の収入調査をしていたものが、申請時に本人が収入、資産などの証明書類を提出しなければならなくなった。これでは申請者が家族に迷惑がかかると萎縮したり、恥ずかしいからと家族から圧力がかかったりするのが目に見えている。深刻なのは障害者の自立生活ができなくなり、DV被害者の新住所が漏れる危険性が高くなることだ。
 自民党の「家族原理主義」に基づく格差・貧困対策がもっとも弱い人への生活保護給付の抑制として実行されようとしている。次は年金、医療制度など社会保障全体の改悪に向かうことは火を見るよりも明らかだ。
 2つ目の狙いは稼動年齢層の生活保護制度からの排除。この流れは生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会(1月25日)が「稼動年齢世代を含めた生活保護受給者が増大する中で、新たな生活困窮者支援制度創設と生活保護制度の見直しを一体的に行うことにより「新しい生活支援体制」構築が必要」という厚労省方針で示された。
 11月参議院の法案通過に先立つ5月16日、就労指導強化の社会援護局長通達が出された。これは生活保護受給者への就労圧力による締めつけとなって現在も生活保護受給者への心理的、物理的圧力となり、保護の停・廃止の根拠となっている。内容は@原則6ヶ月以内の就職を目指し、具体的な求職活動の内容等について「自立活動確認書」で確認し、集中的支援を行う。A求職活動が不十分な場合は指導・指示を出し、従わなければ最終的に保護の停止・廃止をするというもの。
 しかし、「稼働能力不活用」を理由とした水際作戦には11年8月新宿七夕判決、13年11月岸和田判決などで相次いで申請窓口で排除された申請者側が勝利。いずれも稼働能力の有無をもって生活保護制度の利用から排除するのは違法とされた。岸和田のケースでは申請を拒否した岸和田市に5度目の申請が受理されるまでの生活費相当分の賠償まで認められた。
 しかし、裁判まで持ち込み、自治体の門前払いを正すのは支援団体のサポートなどのある一部の人でしかなく、大半の自治体では法改悪の流れによって水際作戦が現在も実行されている。

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困窮者自立支援法をめぐって
 今回の生活保護法改悪と生活困窮者自立支援法のセットでの成立の狙いは、生活保護受給を抑制することが目的で、眼目は受給に至る前の水際のもっと手前の「沖合」で生活困窮者を就労により「自立」させることにある。
 生活困窮者自立支援法の評価をめぐっては支援グループの間でも微妙な違いがあることも事実である。
 湯浅誠さん(反貧困ネットワーク事務局長)は「全国自治体が「責務」として「生活にお困りの方どうぞ」という相談をする。人件費は国がつける。自治体は逃げることができない代わりにはしごをはずされる心配もなく、生活困窮者と向き合う。私たちが長年訴えてきたことがモデル事業としてようやく公のステージに上った。そして「恒久法の制定」という次のステップに踏み出そうとしていた」(7月10日、毎日)。
 ところが、モデル事業を実施する奈良市長は「安易に生活保護を受給する人たちを水際でとめる」と発言した。
 日弁連は生活困窮者自立支援法案に対する意見書で「実施主体である自治体は要保護状況の人たちに対しては、生活保護制度を活用すべきであり、生活困窮者支援制度の存在を理由として生活保護制度の利用を拒否してはならないことを明記すべきである」と述べている。「要保護者」と「生活困窮者」の関係について厚労省の見解(山本太郎議員の質問趣意書への答弁書)は、生活保護に該当するものでも稼働能力を有するものは生活困窮者として就労自立させるという保護からの締め出しを想定したものになっている。
 生活困窮者自立支援法は相談窓口を国の費用で自治体が設置するが生活保護ではなく、ハローワークを紹介して終わりになりかねない。自治体によるサービス格差が濃厚な制度である。
 生活困窮者支援事業のモデルとされる釧路市の櫛部武俊さんは、生活保護当事者に魚網を補修する作業をしてもらうなどユニークな自立支援事業を実践しNHKテレビでも放映され注目された。櫛部さんは「生活保護を受給しながら自立を図る釧路の中間的就労はブラック企業とは違う。」「地域を耕すことが大切だと思います。地域でみんな労働の場を失っているのだから、それを作ることが必要です。労働は『人を人にする』営みです。賃金の高さだけでは見ないで地域にそういうものを起こしていくことが大切だと思います。」と語る。「生活保護から脱却することを「自立」として就労を指導するものではない。「日常生活自立」「社会的自立」「就労自立」の3つの自立を互いにフラットな関係のもとして考え、当事者個人にとっての多様な「自立」を支援するものである。」(みわよしこ『ダイヤモンドオンライン』)。
 奈良市長発言と釧路市の事業には大きな違いがある。「自立」とは個人の自由と尊厳、健康と最低限度の生活を有した上での個々人の具体的な状況に応じた尺度でなければならないはずだ。短絡的で一面的な「就労=自立」の強制からの脱却を。
記:吉田和雄(さんきゅうハウス理事)